大会シンポジウム

『ゲーミングとグローバリゼーション』

青山学院大学のグローバル研究プロジェクトと教育プログラムの取り組み

10月19日(金)13:30-15:00
青山学院大学 青山キャンパス 総研ビル3階 第10会議室
アクセスマップ http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html
キャンパス案内 http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama.html

趣旨

教育や研究の異なる目的に応じて、どのようなゲーミングをどう利用すればよいか。わが国においても、ゲーミングは、多様な目的に合わせて数多く開発・利用されてきた。近年、ゲーミングは、日本企業の海外進出に伴って、現地マネージャに対する教育として利用されたり、一方で、国際比較などの研究に用いられるなど、国際化も進んでいる。

青山学院大学ビジネススクールでも1990年から現在まで20年以上にわたり、米国カーネギーメロン大学との共同で、国際的なビジネスゲームの授業を実施してきた。また、2009年から現在までゲーミングを用いたアジア各国の企業組織意思決定の比較実験プロジェクトを実施している。

本シンポジウムでは、青山学院大学における国際化するゲーミングの取り組みについて紹介するとともに、言語の違い、文化の違いが伴う環境下において、海外の大学といかにゲーミングを用いた教育・研究を実践するかという実際的問題について参加者と情報共有しつつ、大いに議論を深めたい。

 プレゼンター:

堀内 正博 (青山学院大学 総合文化政策学部 教授)
岩井 千明 (青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授)

司会者:

田名部 元成 (横浜国立大学 経営学部 教授)

 

 トピック1 「アジア各国の企業組織意思決定の国際比較」

堀内は、青山学院大学の岩井千明・大島正嗣・森田充とともに、過去4年余り、「アジア各国の企業組織意思決定の国際比較」と題して、学内研究資金や科学研究費を利用して研究を行ってきた。アジア各国の集団的意思決定の特徴を明らかにすることが研究の目的である。その研究手法として、各国にビジネススクールの学生を対象にわれわれ自身が開発したゲーミング・シミュレーション・ソフトウェアを利用してデータ収集を行った。われわれは実験経営学と名付けている。

本シンポジウムでは青山学院大学でのゲーミング実践について紹介し、海外でゲーミングを利用して研究を行う際の問題点を明らかにし、解決策を参加者とともに議論したい。発表内容としては次のようなトピックを想定している。

  1. 研究の目的と概要
  2. ゲーミング・シミュレーションを利用した研究の方法
  3. 東北大学(中国・瀋陽)での経験
  4. 香港理工大(香港)での経験
  5. ハノイ工科大学(ベトナム)での経験
  6. タマサート大学(タイ)での経験
  7. まとめ

 トピック2 「マネジメントゲーム」

2番のトピックは、「マネジメントゲーム」というMBAの科目の実践事例である。本科目は、1990年に堀内らが米国カーネギーメロン大学ビジネススクール(GSIA)と協議の上、MBA向けカリキュラムとして採択したもので、現在は岩井が担当しているが、青山学院大学ビジネススクールの人気科目として学生・卒業生たちから高い評価を受けている。

原則として学生4(5)名1組で仮想の消費財会社(時計メーカー)の経営を行う。米国カーネギーメロン大学(CMU)、中国、ウクライナ、チリのビジネススクールとの合同のビジネスシミュレーションである。全ての資料は英語で、コミュニケーションは主に電子メール、Webを通じて行われる。本科目の目的は、マネジメント、マーケティング、財務、会計、オペレーションといった会社機能の全体を把握するとともに、経営者が直面する諸問題(経営計画の策定、取締役会での発表と承認、リスク管理、チーム内の動機付け、株主への情報開示など)を実際に経験することにより問題解決能力を向上させていくことにある。

仮想の会社は他の4社と競合しながら、米国、イギリス、ドイツ、中国および日本のマーケットに対して腕時計の製造・販売を行う。過去10数年分のデータを元に経営計画を策定し、計3回取締役会での報告・承認を受けながら70項目のデータを(CMU)のコンピュータに入力する。競合他社は全てCMUなど海外のMBAの学生のチームであり、グローバルな競争を体験することが可能となる。

履修条件として期間中は週20時間以上の個人、チーム活動の時間を要する。また、チームが活動の単位になるので最後まで同じチームでやり遂げることができる学生のみが受講可能である。また、取締役会は3回とも全て出席する必要がある。