2026年4月1日施行
序
本学会は、シミュレーション&ゲーミングに関する学術の進歩発展を図るために、学会誌の出版活動を推進してきた。今後ともこれらの活動が適切に行われるためには、学会誌へ論文の掲載を求めて投稿する投稿者、原稿を審査する査読者、また査読制度を運用して採択の可否を判定する論文審査委員会のそれぞれ倫理的な規準を満たして活動しなければならない。
倫理規程は、個々の論文を、オリジナリティを有し優れた水準が確保されたものとするために必要とされる。しかもその際に、投稿者は他者の諸権利を侵害してはならないし、査読者は投稿者の諸権利を侵害してはならない。
1.投稿者の義務
1.1論文の要件
投稿する論文は応募規程に示された諸条件を満たしたもので、学術の進歩発展に資するに足る水準が確保されたものでなければならない。また、研究が多くの者の関与においてなされた一連のものである場合でも、当該論文は、投稿者が直接に関与した部分について一つの完成したものとして取りまとめられていなければならない。
1.2著者
論文の著者は、研究の遂行と論文の執筆に意義ある貢献を果たし、完成稿の投稿に同意し、かつ論文の内容に共同の責任を負える者全員であり、またその範囲に限られる。投稿者は、すべての著者から事前に投稿への同意を得ること、ならびに投稿、査読、出版の全工程に対して責任を追うことを求められる。なお死去した者であっても、これらの条件(同意の条件は必須とせず)のもとに著者となることができる。
1.3十分な情報の提供
論文において投稿者は、同じ分野を研究する者がその研究を再現したり検証・評価しうるに足る情報を提供し、論証の過程を示さなければならない。また、既往論文等についての十分なレビューを行うとともに、引用する場合にはその引用元を示さなければならない。
1.4他者からの引用に際しての注意
投稿者は他者からの情報を引用するにあたって、それが読者にも入手可能であることを確認するとともに、他者がもつ著作権の存在に留意しなければならない。
1.5研究不正の禁止
投稿論文には、捏造・改ざん・盗用をはじめとする不正行為に基づく内容が含まれてはならない。
1.6分割投稿の禁止
一本の研究論文で報告できる研究成果を不当に分割して投稿してはならない。分割投稿(サラミ投稿)とは本来一本の研究論文として報告できる研究を意図的に複数に分割して発表することである。
1.7既往論文の批判的引用に関する注意
投稿者が既往論文に対し学術的根拠をもって批判的に引用・記述することは許されるが、誹謗はもちろんとして根拠不明のままに批判することは許されない。
1.8調査対象者・被験者の人権等の保護
当該論文が人を対象とする研究内容を含む場合、投稿者は、参加者からのインフォームド・コンセントを取得するとともに、参加者の個人情報と心身の安全を守るための対策・措置を講じている必要がある。
1.9査読者守秘義務の尊重
投稿者は査読者の守秘義務を尊重しなければならない。査読者を特定、接触しようと試みたり、客観的な査読を攪乱、妨害するような言動は厳に慎まなければならない。
1.10商業的意図等の排除
明らかに商業的意図あるいは政治的、宗教的意図があると判断される論文は不適切である。
1.11他者の権利を侵害した場合の責任
論文の内容が他者の著作権を侵害した場合には、その責任はすべて投稿者にあって、本会はこれらに関し直接的な責任を負うものではない。
1.12潜在的な利益相反の宣言
利益相反の可能性がある場合には、その旨を編集委員会に宣言する必要がある。利益相反とは、当該論文の著者と直接・間接の利害関係者(個人・企業・団体・外国政府等)との金銭的・社会的関係が、論文の内容にバイアスをもたらす可能性がある状況を指す。例えば、研究資金・設備・謝礼・贈答品等の受領、雇用・顧問契約、株式の取得等が該当する。
1.13他者が作成したゲームの使用
他者が作成したゲーム(他者が作成したゲームを改良した場合も含む)を使用する場合、原作者の意図に反する使い方や、原作者に物質的・精神的な損害を与えうる使い方をしないよう配慮する必要がある。望ましくない使い方となることを避けるため、ゲームの原作者に確認を取ることが推奨される。また、当該ゲームを「参考文献」あるいは「ゲームの出典」に明記する。
2.査読者の義務
2.1査読者の役割の自覚
論文掲載の可否を判断するに際して査読者の役割は極めて大きく、その責任の重大性を自覚して査読期限を守り速やかに進めなければならない。
2.2査読の辞退
査読者が投稿者や当該論文等との個人的な利害の関係、あるいは自己が専門とする分野との不整合等の事情で査読に相応しくないと判断した場合、また査読についての時間的余裕がないと判断した場合には、速やかに査読を辞退しなければならない。
2.3査読の客観性の確保
査読はシミュレーション&ゲーミング研究の進歩発展への有益性の観点から、客観的かつ論理的になされなければならず、個人的な考え方や、投稿者あるいは当該論文への好悪の感情をもととする客観的でない、また論理的でない判断は厳に控えなければならない。
2.4論文の有益性
有益性とは、シミュレーション&ゲーミング研究においてこれまで培われてきた学術・技芸的な蓄積をさらに高めることを意味する。ただし、従来獲得されてきた方向性と異なるものであっても、当該論文においてその妥当性が証明され、あるいは妥当性が論争されるべきと判断される場合においては、それを拒否することがあってはならない。
2.5投稿者への配慮
査読結果の記述は論理的であるとともに、投稿者に理解しうる文章表現でなされなければならない。また査読に際しては、投稿者の人格や知的独立性に十分な敬意を払い、それらへの軽視を疑わせるような記述は避けなければならない。
2.6守秘義務
査読者は査読の依頼を受けた事実、また査読中の論文の全部あるいは一部の内容を他者に漏らしてはならない。
2.7自己のための利用禁止
査読者は当該論文が公刊されるまでは、その内容を自己のために利用してはならない。
2.8研究不正検出に対する協力
査読者が論文の研究不正を発見したり、その疑いがあると判断した場合には、論文審査委員会に査読書とは別添のかたちでそれを連絡しなければならない。二重投稿、つまり論文の内容が既に公刊された論文と同一であることを発見したり、同一である疑いがあると判断した場合には、論文審査委員会に査読書とは別添のかたちでそれを連絡しなければならない。
3. 論文審査委員会の義務
3.1 論文審査委員会の公正な運営
論文審査委員会は本規程の序に述べた目的を達成するため、公正な運営に努めなければならない。
3.2 査読者の選定
論文審査委員会は当該論文の査読のために前もって定めた会員よりなる候補者から、専門性を考慮して最も適切な査読者を選定する。なおそれが必要と考えられる場合には、候補者以外の会員および会員以外からも査読者を選定しうる。査読者の選定は公正に行わなければならない。
3.3 委員の守秘義務
論文審査委員会の委員は査読に関する事項を他者に漏らしてはならない。
3.4 異議の申し立て
論文審査委員会は不採用となった論文の投稿者から審査結果を不服とする旨の申し出があった場合には、当該申し立ての妥当性を速やかに検討しなければならない。検討結果は委員会名で投稿者に通知するとともに、異議が妥当とされた場合には適切な措置を取らなければならない。
3.5研究不正ならびにその疑いへの適切な対応
論文審査委員会は当該論文をめぐる研究不正ならびにその疑いを発見したり通報があった場合、適切な対応をとらなければならない。また二重投稿の場合も、研究不正に準じた適切な対応をとらなければならない。論文審査委員会は研究不正を理由に不採択を判定する権限を持つが、その安易な適用は慎むべきであり、そのために研究者教育上の配慮についての裁量もあわせて有するものとする。
3.6論文査読における利益相反申告への適切な対応
学会における利益相反ポリシーのもと、論文審査委員会は投稿者の潜在的な利害相反の宣言や査読者の利害関係事由の辞退申告といった論文査読における利害相反申告に対して適切な対応を行う責任を持つ。